球団マスコットさんの人気・知名度はどう決まるのか

球団マスコットさんの人気・知名度はどう決まるのか

公開日:2025年7月29日 (火)

プロ野球12球団で46のマスコットさんが活躍する現在、球団マスコットさんによって人気の大小はあるものです。この記事を書くうえでまず最初にはっきりとさせなければならないことは、必ずしも人気があることが正義ではないということです。また、社会的な知名度と球場での人気も相関するものでもありません

しかし、人気や知名度があれば、活動を認められる機会も増えますし、露出が増えたりグッズが発売されたりといった効果が見込まれます。いくら人気だけが全てではないとはいえ、人気になることで見える世界があるというのも事実なのでしょう。

その中で、いわゆる人気があるマスコットさんにはどのような特徴があるのでしょうか。整理していくと、"接触機会とキャラクター性が知名度と人気を決める"のではないかと感じました。(当たり前といえば当たり前ですが……)

接触機会とは?

接触機会というのは、キャラクターのお顔や名前を目にする機会です。グラウンドでの活動でキャラクターのお顔を目にする機会がありますが、例えばコンコースでのグリーティングがあればお顔だけでなくて、名前にも触れる機会となります。SNSで可愛い動画や写真が流れてくるのも、キャラクターのお顔やお名前を目にするという意味で、すべて接触機会です。

接触機会がリアル・オンライン含めて増えていけば、自ずと"名前"と"顔"を覚えてくれる人が増える、つまりは知名度が上がることで、"人気"も自然とついてくるのではないかと思います。

では、これまでマスコットさんたちはどのように接触機会を得てきたのでしょうか。

結局は直接訴求が大事?

2018年から球場の外での活動をしているB・Bさんに驚かされるのが、出演を知らずにその場で遭遇した人たちもB・Bさんの名前を知っている人がとても多いということです。

これは、(過去にテレビに映る回数が多かったこともあるとは思いますが)B・Bさんが20年以上培ってきた道内各地の訪問や札幌ドームでの最後の一人まで続くグリーティング、数多くの保育園・幼稚園・学校訪問の賜物なのだと感じさせられます。筆頭に挙げられるのは、道内全212自治体をすべて巡った「212物語」です。札幌圏の外、選手がシーズン中に足を運べない札幌ドームまで半日かかるような場所までもB・Bさんが訪問し交流したことで、ファイターズを「札幌のチーム」ではなく「北海道のチーム」にしたのです。

札幌のチームを北海道のチームにしたB・Bさん

一人一人と向き合い、"直接訴求"による"接触機会"の増加で知名度や人気を上げていくというのは他球団にも見られます。

例えば、スイッチくんは外野席で毎試合応援するので、イーグルスのマスコットさんの中で最もファンとの接触機会を持っています。子どもたちはもちろん、大人たちにも親しみを持って接するキャラクター性と合わせて根強い人気を誇っています。社会的な知名度はまだ低いのかもしれませんが、球場のグッズショップで一番最初に売り切れるのマスコットグッズはいつもスイッチくんのグッズです。

外野席で応援するスイッチくん

また、野球教室や保育園・幼稚園・学校訪問は大きな効果があると感じます。一度会ったマスコットの名前をお子さんはすぐに覚えてくれるので、グリーティング中にお子さんが親御さんに名前を教えてあげる場面に多く遭遇します。お子さんが家族にお話をすればそれだけで複数人に伝わるわけですから、知名度向上には抜群です。

マスコットさんはファンとチームを繋ぐ架け橋です。まずは子供たちを野球・チームへと繋げる存在であることが、現在の投資であり未来への投資でもあるのです。マスコットさんは何よりも地域の子どもたちを第一に活動することが王道であり遠回りに見える近道なのだと思います。

今、もし知名度を上げたいと思っているマスコットさんがいるのであれば、「グリーティングを増やす」「保育園・幼稚園・学校訪問を減らさない」、「名前を覚えてもらえるような活動をする」といったことができるのではないでしょうか。

キャラや可愛さは直接訴求をスキップできる手段のひとつ

例えば、つば九郎さんやドアラさんは「キャラクター性」で人気を博しており、グリーティングなど対面での接触機会は少なくなっています。

ですが、お二人は誰よりも保育園・幼稚園・学校訪問や地域訪問、グリーティングをしていたマスコットです。接触機会が大衆性の高いところに移り変わってリアルでの関わりが減っただけで、元からとんでもない量の接触機会を持っていたマスコットさんであったことをはっきりしておかねばなりません。(「つばさんぽ」とか)。

大人気マスコットさん

つば九郎先生やドアラさん同様に人気のバファローベルやDB.スターマンは、造形やキャラクター性、"かわいさ"でそれぞれの時代のネット社会で大きく人気を獲得しました。

このように、全国に知られることで、直接訴求による知名度向上を飛び越して全国的な知名度を得ることができます。

また、球団の人気や球団での扱いで、全国的な知名度を得る事例もあります。ハリーホークさんやレオさんは球団のロゴマーク(ペットマーク)として多くの接触機会を得たことで圧倒的な知名度を誇り、ジャビットさんやトラッキーさんの名前は、球団の人気による接触機会の多さで誰しもが知っています。ちなみに、これらのマスコットさんたちはグリーティングなどにも積極的です。どこに出ても大騒ぎで入場規制!といった人気があるわけではありませんが、盤石な人気があります。広島におけるスラィリーさんも同様です。

トラッキーさんとフレップさん

しかし、もとからの全国的な知名度がなくても直接訴求により知名度を向上させることが可能であることは、これまでに紹介したマスコットさんたちも証明しています。

キャラクター性は、直接訴求をスキップできる手段である一方、直接訴求で知名度が上がった後に、より外の世界で人気を得る手段でもあります。少しずつ知名度を獲得していくことで、SNSなどでキャラクター性をアピールする/してもらうことでファンを獲得するという形も可能であると考えます。

個の時代、全国民が知っている必要はない

SNSが発達した現代においては大衆(マス)の好みに合わせたコンテンツというものを作ることはとても難しく、全国民に知られるよりも、"誰かに刺さる"のパイを大きくとることが大事だとされています。

例えば、「SNSで共有された意外な一面」といったもので有名になることもあるかもしれません。SNSはいつ"バズる"かわかりません。マスコットさん自身が"バズり"を作りに行かずとも、何か切り取られた瞬間とか、ファンの側のアクションで大きく跳ねることもあります。(某・多摩センターのテーマパークの投票イベントとか……)というのも踏まえて、まずは現場の人を楽しませる、直接訴求を頑張ることなのだと思います。

強いてSNS戦略で何かするのであれば、スタジアム内で飲食物を購入したりするシーンは「マスコットの意外性」から、直接訴求とネットシーン両方に刺さるものだと思います。さらに強いのは、他球団マスコットとの交流の機会に爪痕を残すことかかと思います。特にここ2年ほどは、Xのアルゴリズム強化も相まって、マスコット交流の画像は異常とも言えるレベルにビュー数が回ります。この時代に昔みたいに複数マスコットでの交流が増えたらサブマスコットさんたちももっといいところが全世界に見つかると思うんですよねーーー。

こういうシーンはバズる

いつ会えるのか分かるのが大事

ここまで書いてきましたが、何よりも「直接訴求」、会いにきてもらうことが重要なんだと思います。今はタイパ(タイムパフォーマンス)が叫ばれる時代で、どこで何ができるのかが分からないとしんどいという人も多いみたいです。スケジュールをしっかりと告知し、ハイライトに残しておくことも、会場に来てもらうには大切な手段です。

最近だとInstagramのストーリーズで告知した後、アーカイブに残さない球団もあり接触機会を減らしていないかと残念な気持ちになります。あとは一番みやすいカレンダー形式での告知がヤクルトとDeNAだけになってしまったのが残念ですね。ここ数年でいくつかの球団がやめてしまいました。

これらのサポートは、マスコットさんの頑張りを支えるためのスタッフさんに求められることです。マスコットさんの頑張りがより多くの人に伝わるようになってほしいですね。

SNSを中心に知名度を向上させたクラッチくん、昨年オールスター直後の東京開催のグリーティングは大盛況

以上です。私の専門に近い広報・ブランディング戦略のような話になってしまい、当たり前のことだけ書いた感じになってしまいました。最後まで読んでいただきありがとうございます。

ちなみに余談ですが、「〇〇 スケジュール」という検索ワードにおいて、このサイトが3ヶ月間で2万回以上表示がされており、6,000人以上が訪問しています。公式スケジュールがない球団は特にクリック率が5割を超えてきます。アーカイブを残したくてやっているのに最新情報求められるサイトになっていて情報が間違えてないかヒヤヒヤしています。このサイトは非営利でお金稼ぎしているわけでもないので、公式でやってもらった方が嬉しいです。難しければこのサイトに公式情報を載せませんか

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Shota Yamamoto

球団マスコットを追いかけて、東京・札幌・仙台を中心に年間60試合程度観戦している成人男性。 「球団マスコットの情報。」の管理人。NPBのマスコットさんを全体的に追っかけている。 特に好きなマスコットさんは、B・Bさん、つば九郎先生、イーグルスのマスコットさん。 「プロコレクション」「実使用グッズ」「NPBマーク」といった言葉に目がない。

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